「パブリックアート30年の軌跡」 東北芸術工科大学7Fギャラリー

2012.11.14~30

Posted. 2012.11.14

ステンレスを素材とする抽象彫刻の作家として60歳の時までフリーで活動してきた私が、たまたまご縁があって東北芸術工科大学に奉職することになり早5年半という月日が経ちました。65歳という節目の年を迎え来年3月をもって退官することとなりました。心残りもありますがまた元のフリーの彫刻家として制作に励んでいくつもりです。
退官に当たり学生諸君に私の制作活動の全貌を紹介し、一人の作家がたどった30年の軌跡を見てもらうのも参考になるかと思いこの展覧会を企画しました。アトリエにある手持ちの作品と今までにコミッションとして制作した大型の作品35点のパネルによる展示です。制作の裏側の面も分かるように学生時代の古い作品や制作途中の作品、マケット等も展示します。私が作家としてスタートしたのはバブル期の末でしたが時代の潮流の中で彫刻が公共的空間に受け入れられていく頃で、タイミングとしては恵まれていました。リーマンショック以降の社会状況は作家を志す若者にとって厳しいものがありますが、時代の状況は常に変わっています。状況はどうであれ芸術の存在価値は揺るぎのないものです。自らの存在意義をかけ高い志を持って不断の努力を怠らないならば、必ず報われるときは訪れるはずです。この展覧会が少しでも若い人たちの夢の後押しをするとしたら大変嬉しく思います。